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まるで母のような gr_side ページ32

『ダメかしら…?』


と不安げにこちらを見つめてくる真っ黒な双眼と頭に今現在もある撫でられている感覚を感じながら、俺は場違いにも幼少期の頃の自分を思い出していた。



自分は王族、フューラー家に生を授かった。

両親共、国王皇妃の職務に追われていた。尚且つ第一皇太子である俺の扱いは酷いものだった。

自由などなく、褒められることも認められることもない。
人々の上に立ち、いつかは国民を統べる者として常に上を目指せと言われてきた。


母に撫でられたことなど勿論一度もない。


生まれてから将来まで全てを約束されたレールの上を通るだけの人生だと、幼いながらに賢かった俺は理解していた。

そして一生独りで生きていくものだとも。



それだけではなく、次期皇妃として次々と連れてこられる女性達。
殆どは親に「第一皇太子に気に入られてこい」などと吹き込まれているのかベタベタとこちらに触れてくる。


故に生きている女性はあまり好かないし興味もない。

正直な所あまり触れられたいとも思わない。




だが、彼女_Aに触れられるのは不思議と嫌ではなかった。
彼女とは7歳の頃に会い、それからずっと共に居た仲で気を許せる良き理解者同士だ。


彼女が居たからあの制約まみれの監獄(王宮内)の中でも上手くここまでやってこられたのかもしれない。




gr「……これに免じて許そう。気分がいい」




『それはよかった』っと彼女は言った。

きっと母に撫でられる温もりと今感じている温もりは似ているのだろう。



まぁ、たまに彼女が見せる消え入りそうな雰囲気はあまり好かないがな。


支配者はいつも孤独なものだ。
仲間だろうが何だろうが、隣ではなく彼ら彼女らは皆後ろのみをついて来る。

それはゾムも同じだ。
消せない主従関係は俺の隣を歩いてくれる者を尽く消し去る。

昔からそうだ。そういうものだと理解もしていた。



だが彼女は俺と隣り合わせに、肩を並べて歩いてくれた。



だからどうか、俺の隣を今までのように歩き続けてくれるのなら__







__お前だけは消えてくれるなよ。


もう独りは懲り懲りやねん。








▶グルッペン・フューラー

アステリア王国、出身。第一皇太子。
生まれた時から決められたレールの上の人生を歩んできた。
強要される勉学、作法、武芸全てにおいて優秀でなくてはならないしそれ以外が認められないことも賢すぎるが故に幼いながら理解していた。

制約と孤独からの脱却を望んでいる。

妖艶の如く笑う人→←ラッキースケベ



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ゆう(プロフ) - 主人公のひとつひとつの言葉遣いに品性を感じ、別世界に行けるような感覚で楽しませてもらっています。お忙しい中更新いただきありがとうございます!無理のない範囲で、作者様のペースですすめていってください! (9月10日 2時) (レス) @page29 id: a3f3849aaa (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 夢主が可愛すぎて辛いです()本当に読めやすくて話も面白いです! (9月5日 9時) (レス) @page28 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
絲縫。(プロフ) - 滅茶苦茶好きです。すごく綺麗に話が綴られているので凄く読みやすくてあっという間に読めました。これからも応援しています。 (9月4日 21時) (レス) @page28 id: 3aa2c2a23c (このIDを非表示/違反報告)
シオンはアムルガムの派生(?) - drさんがここぞみたいな所で自分の嫁!って主張してるのがかわいくて好きです!!!応援してます!!初コメ失礼しましたー!!! (9月4日 18時) (レス) @page28 id: da22832432 (このIDを非表示/違反報告)
アホの子(プロフ) - りぃるさん» ああありがとうございます…!!!嬉しいお言葉すぎるッッッ…!!!!(涙) (9月4日 16時) (レス) id: 149963b40a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アホの子 | 作成日時:2023年8月22日 1時

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