何故彼がここに居る? ページ8
今、私は路地裏に居る。
そして目の前には見覚えのある濃いブロンドの髪を持つ人物ことコネシマがゴミ箱を背に座り込んで眠りこけていた。
彼は別国…それも極東に位置する国の天皇家の子息のはずだ。
何故彼がここに居る?
『…貴方、起きてる?』
少し距離を置いた状態で声をかけるが全く反応がない。
これは気絶しているか寝ているかのどちらかだな。
にしても着ている服がどこか薄汚れている。
それに所々血が滲んでいるし、かろうじて見えている肌には大小様々な痣が見える。
まさか、虐待の挙句捨てられた?でも両親は天皇家のはずでしょ…?皇族の血が流れている子供を普通捨てるかしら…?
『……起きてちょうだい』
ぺちぺちと彼の頬を叩きながら声をかければ長いまつ毛が震え、綺麗なスカイブルーが顔を見せた。相変わらず綺麗ね。
……私はその、貫くような冷酷で、何よりも冷たかった瞳が嫌いだけれど。
「……だ…れや…」
眉を顰め、絞り出したような声で私に問う彼は捨てられた子犬のようだ。
私は、私の処刑を強く望んでいた彼が嫌いだ。でも恨みきれない。
何故ならあれは少なからず私が悪かったりするのだから。
そして、私は彼の…太陽のような笑顔が好きだった。
明るくて、綺麗だったから。
『私はA、…貴方、ここで死ぬか…私についてくるか…どちらがいいか選んで。
私について来るのなら悪いようにはしないわ。衣食住、全て揃えてあげる』
「……それを…信用、しろと…?」
彼は怪しむように目を細める。
確かに、彼は警戒心が人一倍強かった。それもこれも境遇のせいかもしれない。
『…信用なんか、逆にしないで。私を信用しないで。
それよりも傷が酷いの、せめて治療くらいは受けて行きなさい』
渋々、っといった様子で彼は頷いた。
流石に私と同じくらいの身長の少年を背負うのは無理なため肩を貸し、馬車がある場所まで運んだ。
・
幼い体とは実に不便らしい。人一人に肩を貸しただけでもう歩く気力が出ないほどに疲れた。
彼を馬車に押し込み終わった私は御者に帰るよう指示し、馬車の揺れと共に眠りに落ちた。
自分をじっと見つめるスカイブルーに気付かぬまま__
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ゆう(プロフ) - 主人公のひとつひとつの言葉遣いに品性を感じ、別世界に行けるような感覚で楽しませてもらっています。お忙しい中更新いただきありがとうございます!無理のない範囲で、作者様のペースですすめていってください! (9月10日 2時) (レス) @page29 id: a3f3849aaa (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 夢主が可愛すぎて辛いです()本当に読めやすくて話も面白いです! (9月5日 9時) (レス) @page28 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
絲縫。(プロフ) - 滅茶苦茶好きです。すごく綺麗に話が綴られているので凄く読みやすくてあっという間に読めました。これからも応援しています。 (9月4日 21時) (レス) @page28 id: 3aa2c2a23c (このIDを非表示/違反報告)
シオンはアムルガムの派生(?) - drさんがここぞみたいな所で自分の嫁!って主張してるのがかわいくて好きです!!!応援してます!!初コメ失礼しましたー!!! (9月4日 18時) (レス) @page28 id: da22832432 (このIDを非表示/違反報告)
アホの子(プロフ) - りぃるさん» ああありがとうございます…!!!嬉しいお言葉すぎるッッッ…!!!!(涙) (9月4日 16時) (レス) id: 149963b40a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アホの子 | 作成日時:2023年8月22日 1時