嫌われ者と忌み子 ページ9
意識を浮上させ、丁度屋敷に着いたであろう馬車からコネシマを連れて降りる。
その後は適当に父と交渉して一時的に彼をここに住まわせる形で場を収めた。
とりあえず今は風呂だな、っと思ったのでお風呂セット一式を持たせて風呂場に押し込む。怪我人だけど流石に同い年の、それも異性に風呂に入れさせてもらうなんて嫌でしょ?私だったら平手打ちしていた所よ。
・
kn「いたたたた!?!?」
『うるさいわね、ちょっとくらい静かにしてちょうだい』
今は彼の治療をしている所。
消毒がかなり染みたらしく涙目で痛い痛いと嘆いている。
あの処刑の1件から男は少し苦手なためあまり暴れないで欲しい。切実に。
『…終わったわよ、食事はそこのサイドテーブルに置いてある。適当に食べたら後は好きなようになさい』
kn「………お前、ホンマに令嬢か?変わったヤツやな」
『変わっていて結構よ。貴方を助けたのも気まぐれにすぎない』
kn「ほ〜ん?」
そう言って食事に目線を戻した彼は急にもじもじしだした。
次は何よ…。
kn「……えっと…箸ってないん…?ここ…」
『はし…?』
kn「…あの…2本のほっそい棒やねんけど…」
そうだ、彼は東国出身だった。東国では箸で食べるのが主流だ。だから彼は今困っている。
『…箸…はないわ、仕方がないからテーブルマナーくらいは教えてあげる』
それから彼にテーブルマナーの基本を教え、食事を食べてもらった。
スポンジのようにどんどんと知識を吸収していく彼は前と変わらず学習能力が高いらしい。
食べ終わった食器類をメイドに回収してもらい、私は買ったナイフの手入れを始める。
コネシマはそれを興味深そうに見るばかりで口を噤んだままだ。
私は次に自動式拳銃を袋から取り出した。
自動式拳銃を見た彼は「あ、」と声を上げる。
『…何?』
kn「この国の技術はやっぱり凄いんやな。ウチの国じゃまだ火縄銃やで?」
『…触ってみる?』
kn「!!、ええん!?」
『どうぞ』っと言いながら彼に自動式拳銃を手渡す。
彼は数分程、手の中で拳銃を弄んでいた。時折これどうやって使うん?やら、これ何?等と質問してきたためその都度答える。
だが…突然、楽しそうな表情が彼から消え、
何かを我慢するような、くすんだスカイブルーは下へ伏せられた。
kn「俺、な……逃げてきたんや、東国の天皇家から、」
彼は死を待つ囚人のような震えた声で、言葉を紡いだ。
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ゆう(プロフ) - 主人公のひとつひとつの言葉遣いに品性を感じ、別世界に行けるような感覚で楽しませてもらっています。お忙しい中更新いただきありがとうございます!無理のない範囲で、作者様のペースですすめていってください! (9月10日 2時) (レス) @page29 id: a3f3849aaa (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 夢主が可愛すぎて辛いです()本当に読めやすくて話も面白いです! (9月5日 9時) (レス) @page28 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
絲縫。(プロフ) - 滅茶苦茶好きです。すごく綺麗に話が綴られているので凄く読みやすくてあっという間に読めました。これからも応援しています。 (9月4日 21時) (レス) @page28 id: 3aa2c2a23c (このIDを非表示/違反報告)
シオンはアムルガムの派生(?) - drさんがここぞみたいな所で自分の嫁!って主張してるのがかわいくて好きです!!!応援してます!!初コメ失礼しましたー!!! (9月4日 18時) (レス) @page28 id: da22832432 (このIDを非表示/違反報告)
アホの子(プロフ) - りぃるさん» ああありがとうございます…!!!嬉しいお言葉すぎるッッッ…!!!!(涙) (9月4日 16時) (レス) id: 149963b40a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アホの子 | 作成日時:2023年8月22日 1時