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「シャオちゃん歩兵連隊やろ? なんで遠距離の練習してたん」
「え? あー、まあ、いや別に」
半笑いで答えるシャオロン。鬱は何かを察知して、胡散臭い笑みを浮かべながらふぅんと端的に返した。そんな彼の居心地が悪かったらしい、シャオロンは あー! と呟いてAの手を取った。そして振り向いて鬱に指を指す。
「おい だいせんせぇ、今から密談するからつ、ついてくんなよ!」
「えなに? 密会?」
「ちゃうわアホ!!!」
そう言って逃げるように走り始めたシャオロンと、半ば引き摺られるようにして連れていかれるA。あべこべな二人をみつめながら、鬱はその深海のような瞳をぴくりともさせず、思った。
「(……なーんか、怪しいな)」
໒꒱· ゚
鬱から逃れ、二人が辿り着いた先は城内の図書館。読書用の個室に入って、シャオロンはようやくそこで胸を撫で下ろした。
個室は高い天井とは非対称な狭い部屋で、丁度一坪くらいの広さだ。周りはアンティークな壁だけで、図書館では大量にあった本や飾られていた絵画や額縁は一切見受けられない。個室とは言ったが実際は扉はなくて、部屋に入ったら真っ赤なカーテンを閉めるらしい。
確かにこうすることによって地震などが起きても扉が軋んで逃げれない! なんてことは無いし、個室の開扉閉扉も分かりやすい。しかも非常識な人さえいなければちゃんとプライベートタイムを守られる。これはいい場所を知った、後日一人で来て読書でも嗜もうか。
Aがこの隠し部屋みたいな空間にわくわくしていると、シャオロンはそこにあった椅子に腰をかけた。Aももうひとつだけあった椅子に腰をかけて、机を挟んで向かい合う。両者、考えていることは同じであった。
「A、何が言いたいかわかる?」
「はい。昨日の件ですよね」
「うん、よかったぁ、Aも覚えとって……」
こういうラノベとかだと絶対片方の記憶なくなるから不安でさ、とスライムみたいに机に頭を置いたシャオロン。彼もどうやら同じことを思っていたらしい。Aは 私も同じこと思ってました とわらった。出来事としてはあまりにも非現実的だが、起こってしまったものはそうやって客観視でもしないとやっていけなかった。
「で、一旦何が起こったか情報整理させてくれ」
えーと、と呟いて机の端にあった備え付けのメモ用紙を取り出すと、その隣にある萬年筆をすくった。
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にのやも(プロフ) - モモモさん» きゃあ! そんなこと言われたら沢山書きたくなっちゃいます!🥹 ご期待に添えるようなるべく余談回挟めるよう頑張ります!🙇🏻♀️" (4月5日 8時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
モモモ(プロフ) - 展開が一つ一つ丁寧で面白くてもう全部読みきっちゃいました!3章以内で終わるのか...もっと書いてもいいんですよ🥹(わがまま) (4月4日 21時) (レス) id: 90bb9ca7b2 (このIDを非表示/違反報告)
にのやも(プロフ) - 梓月さん» コメント有難う御座います!🙇🏻♀️" 是非命狙われてる夢主ちゃんを守ってあげてください……!👊🏻✨ (4月1日 17時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
梓月(プロフ) - ぐいぐい来られると困っちゃうのあまりにも可愛い…守護らねば (3月31日 21時) (レス) @page42 id: c21b6e797e (このIDを非表示/違反報告)
にのやも(プロフ) - 滅華狂さん» あの場面はとっても慎重に書いたので、そう言って貰えて作者冥利に尽きます!😭✨ これからも更新頑張ります!🙇🏻♀️" (3月27日 11時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にのやも | 作成日時:2024年3月24日 17時